変わりゆくリサイクルの常識

社会学から見た富士山のごみ問題

世界でもトップレベルのリサイクル先進国として高く評価されている日本。
しかし、その一方で、富士山などの自然や公共施設などのごみ山積問題は未だに解決されておらず、日本人の二面性が浮き彫りにされています。
ごみ問題を社会学的に分析することにより、この矛盾の背景にあるものが理解できます。
日本には古くから「内と外」という文化が根づいています。
個人と公というふたつの世界のボーダーラインを明確にしておくことによって全体としての秩序を維持し、共同体の和を保ってきたのです。
コミュニティを重んじる日本人の心理は、コミュニティの外への無関心につながります。
一見すると矛盾しているようですが、目の届く範囲のリサイクルに力を入れることと、富士山のごみを放置してしまうことは心理学的には表裏一体の関係にあると考えられています。

心理学を応用したリサイクルの推進

リサイクルとは結局のところひとりひとりの心がけの問題であり、国や自治体レベルでいくらトップダウンに呼びかけたところで思うような効果は得られません。
リサイクルを個人レベルで根づかせるためには、まずはすべての人にリサイクルを身近に感じてもらう必要があり、同時に、リサイクルの重要性を自分の問題として認識するきっかけをつくる必要があります。
心理学の理論に「割れ窓理論」というものがあります。
窓が割れた状態では、人間は割れた窓が当たり前だと感じてしまい、さらにひどく窓が割れても関心を払わなくなります。
一方、窓をこまめに修理し、つねに新品同然の窓を保っておくことで人々にもきれいな窓を維持しようという心理がはたらき、窓が割れなくなる。
ごみ問題も同様に、まずは今あるごみのトラブルを解決し、窓を新品に取り換えることで、未来のリサイクルの進歩につなげる効果が期待できるのです。


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